2020年度月刊絵本ご紹介

こどものともシリーズは、福音館書店が発行する月刊絵本です。毎月、定期的に絵本が届きます。2020年度に発刊された2020年4月号から2021年3月号各誌をご紹介しています。2021年度は、「お楽しみガイド」として、更に月刊絵本を楽しむための連載を始めましたので合わせてご覧ください。


2021.3

BY TOWA FUJITA / AYAKO ARAKI / AKANE NAKAMURA
こどものとも 0.1.2.

おおきいくまさん ちいさいくまさん

南塚直子 さく

おおきいくまさんとちいさいくまさん、まったく同じことをしています。小さいとき、兄がやっていることがなんだかすっごく楽しそうだったり、かっこよく見えて、自分もやりたい! と、真似っこしていたことを思い出しました。真似っこは同じことをしてみたいという憧れです。「あの人がやっていることを私もやりたい!」「あの人が食べているのを私も食べたい!」。小さい人だけでなく大人も同じですよね。この本では日常の生活が描かれています。自分と重ね合わせて絵本を楽しめます。読んでいると自然と、おおきいくまさんは少し大きな声で、ちいさいくまさんは少し小さな声で読んでしまいます。そうやって読むと、きっとお子さんもそれを真似っこして読んでくれますよ!(TF)

こどものとも年少版

すずめさん おはよう

いまきみち さく

歩いているといろんな鳥に出会います。今日も楽しそうだな、忙しくしてるのかな、と想像しながら歩きます。私がよく散歩で行く公園は、木が生い茂っていて、多種多様な鳥たちの声が聞こえてきます。あっちではスズメ、こっちではヒヨドリ……という風にね。私も鳥たちと一緒におしゃべりしたくなって真似をしてみたり、知らない声が聞こえると、あれは誰だろうとよーく耳を澄ませたり。この絵本も、そんな風にその鳥になりきって真似をしながら読むととっても楽しい。今まで気づいていなかった鳥の声も聞こえてくるかもしれません。(AN)

こどものとも年中向き

ちいさいじてんしゃ りんちゃんのおはなし

ねぎしたかこ 文 / にしかわおさむ 絵

まだ私が小さい頃、お下がりの自転車に乗っていました。私はその自転車がなんだか気に入らなくって、お友達が乗っている自転車に憧れていました。そんな風に思っていたのですから、私の自転車は悲しんでいたかもしれません。気に入っていないと言いつつ、乗り回して大変お世話になったのですが……(笑)。この物語は、自転車のりんちゃんの目線で描かれています。お話に出てくる女の子は自転車とお話ができるのです。羨ましいです。自転車と今日どこに行く? なんて相談したり、ここは坂だから一緒に頑張ろう! なんてお話をしながらお出かけしたら楽しそう! なんて、絵本からどんどん想像が広がり読み終わった後もわくわくしてしまいます。(TF)

こどものとも

なぞなぞ

安野光雅 さく・え

さて、なぞなぞのはじまりです。まずは最初からなぞなぞを楽しんでください。答えの選択肢はたくさんあります。全問正解できるかな? 2回目に読むときは、正解以外の選択肢の絵もじっくり見てみてください。きっとみなさん一度も会ったことも見たこともないのに知っている人ばかりが登場します。シンデレラとかカッパとかね。実際に見たことがないはずなのに、絵を見ただけでそれが何かわかります。作者の安野さんは、誰も見たことがないのに、思い描いているものが同じというのが面白い! と思い、それがこの本を描くきっかけになったそうです。(TF)

ちいさなかがくのとも

はるがきた! いいものいくつ?

おおたぐろまり さく

春になると、いろんないきものたちが、ぐんぐん姿を表します。雪の間から顔を覗かせる春の芽吹きを見つけると、なんだか嬉しくて素敵な気持ちになります。それを指折り数えると、春が近づいてくるのを感じてワクワクします。この絵本には、春のいきものたちがたくさん登場します。いったいどこにいるのかな。「あ、カエルが3匹! 他には……?」宝探しみたいに見つける楽しさがあります。出てくるいきものをぜーんぶ見つけることができるでしょうか?! 絵本で見つけられたら今度は身近な場所でも探してみてください。こどもと一緒にいきものの数を数えながらお散歩すると、ぐっと春を楽しめそうです。(AN)

かがくのとも

どうぶつたちの おひっこし

〜どうやって はこぶのかな?〜
平山暉彦 さく

いろんな国の動物が集まる動物園は、私たちをいつでも楽しませてくれます。そんな動物たち、いったいどうやって動物園にやって来たのでしょう。今回のかがくのともでは、普段は見ることのない、動物たちの運ばれる姿が見られます。首の長いキリンや、とび跳ねるカンガルー、それぞれに合わせた運び方があるんですって。工夫を凝らした輸送箱(ケージ)や車もおもしろい。輸送箱の基準は、その動物が生息している国で決められているものもあるそうですよ。そしてやっぱり飼育員さんってすごい! 登場する飼育員さんたちは、みんな一生懸命でとても楽しそうです。(AN)

たくさんのふしぎ

海と川が生んだたからもの 北上川のヨシ原

堀内孝 文・写真 / 牧野伊三夫 絵

ヨシ(またはアシ)という植物は、河川や湖沼などの水辺に生息する植物です。日本全国どこにでも生息しているので、めずらしいものではありません。でもこのヨシは鳥や虫にとっては本当に特別な場所。ヨシ原はとても暮らしやすい場所なのだそう。だから珍しい鳥や虫もいるみたい。そしてこの北上川のヨシ原は10キロも続いてるんですって。どこにでもある植物だけれど、10キロにも渡って広がるヨシ原はきっと圧巻でしょう。一度見てみたい! 20年前にこのヨシ原をみて虜になった作者の堀内さんは、ずっとこのヨシ原を撮り続けました。ヨシ原の景色、ヨシという植物、そこに住む鳥、虫、そしてヨシ原を大切にする人たちその全てが、この北上川のヨシ原の魅力のようです。(TF)

母の友

さよなら、”みんなと同じ”

個人が尊重される社会を目指して

「はっ」とさせられました。今回の特集は「さよなら、”みんなと同じ”」。この日本の社会には、「みんなと同じ」が良いとされることが多くあります。学校に通うと特に、その風潮が強調されるように思います。そのように教育されてきた私たちは、それがあたりまえと思ってしまっているのではないでしょうか? いろんな人がいて、いろんな考えの人がいて当たり前。みんなの個性を大切にできる、そんな社会になるといいなと思っていながら、気がつかないうちに「みんなと同じ」を強要していないか? 日々点検が必要だと感じました。(TF)


2021.2

BY TOWA FUJITA / AYAKO ARAKI
こどものとも 0.1.2.

じゃがーくん

藤島由美 さく

ちょっと新しいタイプの絵本です。絵本の背表紙を下にして、ページも下へめくっていくのです。なんだか不思議で新感覚。どうしてこんな風に作ったのかと疑問に思いながらページをめくると、なるほど! ページをめくる度にじゃがーくんが高い木にどんどん登っている様子がとてもよく伝わってきます。思わず「わぁ、すごい!」と声が出てしまいました。お子さんはもちろん、大人も一度誰かに読んでもらってください。ページはさっとめくると登っていく様子がよくわかります。じゃがーくんは「どこいくの?」と言われると「いいとこ いいとこ」と答えます。ページをめくる度に、いいとこがどこなのか期待が高まります。最後には期待をうらぎらないとってもいいことが!(TF)

こどものとも年少版

プレゼントをかいに

村田エミコ さく

私はプレゼントを選ぶのが好きです。相手の顔を思い浮かべ、「なにが欲しいかな?」「これはどうかな?」「何色がいいかな?」と考え、「これだ!」とピンときたらそれに決めます。さるのお母さんもこどもたちが喜ぶものは何か考えながらプレゼントを探します。一緒にお店を見てプレゼントを選んでいるようなワクワク感があります。でもお母さんがどれを選んだのかは、最後にならないとわからないのでプレゼントをもらう側のワクワク感まで体験できる、なんとも嬉しい絵本。1ページ1ページゆっくり見て、ページを行ったり来たりしながらじっくり楽しんでください。(TF)

こどものとも年中向き
ペルーの昔話

カメとクロジャガー

ルイス・ウルテアガ 採話・原文 / 星野由美 再話 / あべ弘士 絵

ペルーのアマゾンに暮らすシピボ=コニボ族に伝わるお話。カメが出てくるお話といえば「うさぎとかめ」。でも「うさぎとかめ」のコツコツ努力するカメとは全然違い、このお話に出てくるカメはちょっとずる賢いんです。でもそこが面白い。クロジャガーが気の毒になってきます。そしてもう1つ面白いのが、シピポ=コニボ族にとってジャガーは神聖な動物なのに、お話の中ではカメに負けてしまうんです。神聖な動物でも頭を使わないと力づくではダメみたいです。あべ弘士さんの迫力のある絵に圧倒され、物語に引き込まれます。(TF)

こどものとも

ゆめみのえ

山村浩二 作

夢とは不思議なもので、とてもリアルに感じることがあります。まだこどもが小さかったころ、泣きながら起きてきたことがありました。理由を聞くと「ぼくのぶんのけーき たべられちゃったんだもん」と。どうやら夢の中で食べられちゃったようでした。この絵本のケイサイさんも夢の中で色々な動物になって、色々な景色を見ます。絵本を読んでから、見た夢の話をするのも楽しいですね。会いたい人のことを考えて眠ったら会えるかもしれません。筆で描かれた生き物はシンプルで暖かみがあります。山村浩二さんはこの絵本の短編アニメも製作しているそうです。(AA)

ちいさなかがくのとも

おっと おっと おっとっと

小野寺悦子 ぶん / 福知伸夫 え

我が家の3兄弟は不安定な場所が好きです。ソファの背にすっくと立ちながら本を読んだり、椅子をぐらぐらさせながら宿題をしていたり、塀の上を歩いてみたり。毎日毎日「おっとっと」です。本能がそうさせているのでしょうか。さて体のバランスが崩れそうになると、耳の奥にある器官が感知し脳から筋肉へバランスを立て直す指令が出るそうです。その能力は経験を重ねるほど高くなるですって! さぁ大人もこどもも、みんなで「おっとっと」を楽しみましょう~。(AA)

かがくのとも

うみの みちしるべ

谷川夏樹 さく

船に乗って甲板に出ると、周りには青い海と空が広がり開放感があります。こんな広い海を進んでいくのはどんなに気持ちがいいんだろう。でも船長さんはただ好きなところを自由に進んで目的地を目指しているわけではないそうです。陸には道路があり道路標識があるように、海にも航路があり航路標識があるんですって。まだまだ知らないことがたくさんあります。作者の谷川さんは操舵室や海上交通センターに実際に行っているだけに、絵も細かいところまで描き込まれています。よーく見てみてくださいね。(TF)

たくさんのふしぎ
みんな知ってる?

会社のしごと

野田映美 文・絵

昨年はいろいろなことが変わった一年間でした。今では当たり前になったマスクや手の消毒。そして仕事のスタイルが変わった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。家でパソコンを開いて仕事をする、そんな姿にこどもたちも見慣れてきたころでしょうか。今月のたくさんのふしぎは、仕事の話です。どんな仕事があって、それがどう繋がっているのかわかりやすく書いてあります。身近な人の仕事のことを知るっておもしろい!(AA)

母の友
子どもの絵について話そう

おえかきは自由だ!!

コラムを書いている絵描きさんたちが「子どもの絵は素晴らしい」と口を揃えて言っています。「子どもに負けないように描いています」「子どもに戻る努力をしている」「子どもは抽象画の巨匠です」と絵を描くことを仕事にしている方たちがこのように言っていることに感動します。大人の役割はこどもの絵の良き理解者であることだそうです。どうやったら良き理解者になれるのか。こどもにどんな風に声をかけたらいいのか、絵の保存ってどうしたらいいの? 具体的に書いてあります。こどもに関わる全ての方に読んでいただきたい。私も間違った声がけをしていなかったか点検させられました。お絵かきは自由です!(TF)


2021.1

BY SUSUMU FUJITA / TOWA FUJITA
こどものとも 0.1.2.

ぞろ ぞろぞろ

尾崎玄一郎・尾崎由紀奈 さく

なにやら身近な材料でつくられた同じようにみえる顔がいくつも並んでいます。でも、じっくり見ると違うのが混ざっているみたい。ぞろぞろ歩いているので、声をかけ呼んでみると!? あ、いましたいました、みんなとは違う顔をした人が返事をします。並んでいるなかに呼びかけると、返事をする。この繰り返しが楽しい絵本です。夫婦で絵本を作っている尾崎さんご夫妻。これまでの彼らの作品は、どれも印象深く記憶に残っています。『きっさ すなどーひー』はこどもたちに大人気でした。こどもたちと楽しんでみてください。(SF)

こどものとも年少版

ながーくなった

きむらよしお さく

小学生の息子が、「お父さん、この絵本面白いねー」と言っていました。こどもが面白いね、という絵本って、なかなか力のある絵本です。絵を見ただけで、どういう絵本かわかってしまうくらい単純でわかりやすい絵本でもあります。だって、馬に噛まれると顔が伸びちゃうというストーリー。これだけで楽しめる大人はいい感性が残っているなと……。作者の『ねこがむ』という絵本を思い出しました。ナンセンスな楽しみを描くのが得意なきむらよしおさんです。(SF)

こどものとも年中向き

ゆきだ ゆきだ

中村至男 さく

雪が降ると、こどもはどうしてそんなに嬉しいのか。記憶を辿ると少しだけその気持ちを思い出す気がします。今年はまだ雪が少ないですが、このまま降らないってことはないでしょうから、たっぷり雪遊びをこどもと一緒に楽しむ覚悟でいます。絵本を読みながら、これから起こることをこどもと想像したり、話し合ったりすることができるのも絵本の良いところ。それにしてもこの絵本、白を全部同じ色にしているので、とても不思議な絵に見えます。北国に住んでいるとよくわかりますが、現実では白にもいろいろな種類があり、光や影があるのでこうはなりません。でも絵本だとこういう表現もできるんですね。(SF)

こどものとも

とりになりたかった こぐまのはなし

アデール・ド・レェーエフ 作 / 中尾幸 訳
アヤ井アキコ 絵

この話は図書館員であった作者のアデール・ド・レェーエフさんが、70年前にこどもたちのために書き、雑誌に掲載されたお話です。それが語り継がれ今回絵本になりました。すごい! とりに憧れを持つ気持ちに共感します。こぐまと同じ気持ちになって楽しんでください。(TF)

ちいさなかがくのとも

パワーショベル!

鎌田歩 作

以前甥っ子2人と散歩していたら、ショベルカーがずらっと並んでいるところがあり、立ち止まって動いてもいないショベルカーを1時間ほどじっと見ていたことがありました。今回主役のパワーショベルはそんな子にはとても魅力的。先を付け替えて1台で様々な仕事をしてしまう働き者です。(TF)

かがくのとも

ななくさ つんで

ななくさがゆをつくろう
かわしまようこ ぶん / 辻川奈美 え

私の家では、七草がゆを食べる習慣がなく、七草が何かと言われると答えられませんでした。この本を読んで、七草の中には、小さい頃外で遊んで摘んでいた雑草も入っていると知って驚き! 北海道では雪の中に埋もれて自分で採って作ることはできませんが、七草について知ると七草がゆが一気に身近に感じられます。(TF)

たくさんのふしぎ

うれし たのし 江戸文様

熊谷博人 文・絵

我が家では最近、小学1年生の息子が、寝る前に読む本は「たくさんのふしぎ」シリーズしか持ってきません。ぼくも好きでバックナンバーが大体揃っているので、選択肢は1985年の創刊号から、現在に至るまで果てしなくあります。このシリーズは読み聞かせをする本なのか、一瞬迷いますが、世界の不思議を息子と2人で眺めて楽しめるのは幸せなことだと、普通の絵本の5冊分以上あるなとか、長いなと思ってしまうところをグッと我慢して読んでいます。「今日はここまで」と半分で終わることもありますけどね(笑)。江戸時代の文様、そこに描かれているモチーフ。その連なり。何気なく日常にあふれていますが、改めて見ると、そこには知らない世界が広がっていました。鬼滅の刃でも、出てきますよね。(SF)

母の友

絵本で世界旅行

野坂悦子さんのガイドで、絵本で世界旅行。絵本って、ページを開いてじっくり味わえるので、映像と違う世界が味わえるのだな、思います。わにわにシリーズの作者小風さちさんの「読むことは『体験』になる」というエッセーもふむふむと共感しました。読書って仮の体験じゃなくて、実体験なんです。(SF)


2020.12

BY SUSUMU FUJITA / TOWA FUJITA
こどものとも 0.1.2.

ひょうたん ころころ

殿内真帆 さく

ひょうたんが、「ころころ ころころ」、ころがりながら、お池に落ちたり、ドロにまみれたり、最後は雪だらけになってしまいます。言葉のリズムが心地よく、自然と歌うように口づさんでしまいます。赤ちゃんと一緒に、言葉のリズムをたっぷり楽しんでください。たぶん音と一緒に体も動いちゃうんじゃないかと思います。ころころころがるひょうたんになった気分で、雪にまみれてみるのも楽しそうですね。殿内さんの作品はどれも彼女らしさが現れていて、いつも気になる作家さんです。(SF)

こどものとも年少版

まだかな まだかな

オスターグレン晴子 文 / エヴァ・エリクソン 絵

クリスマスには楽しいことがたくさん。みなさんは何が楽しみですか? 作者のオスターグレンさんが住んでいたスウェーデンでは、12月に入ると飾り付けをしたりろうそくを灯したり少しづつ準備をしてクリスマスをじっくり楽しむそうです。こんな時だからこそいつもよりも気合を入れてクリスマスを楽しむのもいいかもしれません。絵本の中でもクリスマスを楽しんでいる様子が伝わってきます。絵本の隅々までじっくりどうぞ。ところで登場人物のリサは、上手に作ったクッキーをママとパパに早く見せたくて見せてくてたまりません。楽しみなことを待つって、待ち遠しくて待ち遠しくていても立ってもいられない気持ちになります。大人もこどももみんなリサの気持ちに共感してしまいます。(TF)

こどものとも年中向き

おもちつき ぺったんこ

吉かんなりまさこ 文 / 飯野まき 絵

私の家では今でも年末にお餅つきをします。杵と臼でついたお餅は極上です。つるつるもちもちあつあつで、口の中に入れた瞬間幸せな気持ちになります。家族だけじゃなくお友達も誘って大勢でお餅つき、大福作りをするというのもお餅つきの醍醐味で、それがさらに楽しい。この絵本を読むとそのお餅つきの楽しい輪の中に入ったような気持ちになります。今年はお餅つき会ができるのでしょうか。中止になるところも多そうですが、この絵本で十分に楽しんでお餅つき気分を味わってくださいね。(TF)

こどものとも

ようようしょうてんがい

環ROY ぶん / 古郡加奈子 え

ラッパーが絵本をつくると、いままでの言葉遊び絵本とは一味違う面白さがあります。詩人とラッパーの言葉の感覚はどこが違うのでしょうね。さてさて、家族で商店街へ買い物に出かけます。いろんなお店の人と会話をするのですが、それがどれも韻を踏んでいるのです。読み手としては、恐る恐る読み始めるのですが、だんだん調子づいてきて、「もう一回最初から読ませて!」と、もっと上手に調子良く読みたくなってしまうわけです。お肉屋さんの店主が牛だったりしてシュールな部分もありますが、商店街にあるお店の名前や貼り紙なんかも細かな楽しみが隠されているので、言葉も絵も大忙し。環ROYさんの『まいにちたのしい』(ブロンズ新社)もおすすめですよ。(SF)

ちいさなかがくのとも

つっぴーちゅるる

澤口たまみ ぶん / サイトウマサミツ え

身近にいる野鳥たち。散歩をして見かけても、なかなか名前を覚えることができません。すぐに飛んでいってしまうし、似ている野鳥を見比べようと思っても、見分けがつかなかったりします。今回登場するのは、身近で見ることのできる野鳥たちばかり。丸くて可愛らしいフォルムのエナガ。北海道ではシマエナガという亜種がいて、もっと真っ白くてころっとしているようにみえます。それに、シジュウカラやヤマガラ、コゲラが出てきます。普段気にしていなくても、絵本を読んで、気にしながら散歩をすると、よく見えるようになるものです。こどもと絵本を読んだことを知っているのか、タイミングよく出てきてくれるものです。慣れてくると鳴声でわかるようになり、見えなくてもいることがわかるようになってきますよ。(SF)

かがくのとも
つくってあそぼう

くつした にんぎょうげき

林由未 さく

小さい頃、薄手の手袋で母が人形を作ってくれたのをよく覚えています。ただの手袋が帽子をかぶった人に大変身するのがとても嬉しくて、母の手袋と私の手袋両方で作って人形同士で会話したのがとてもいい思い出です。今回は手袋ではなく、穴のあいた靴下、もう履かなくなった靴下! 少し工夫すれば動物に大変身します。作り方をくまさんがわかりやすく教えてくれます。それにとても簡単に作れるので冬のお家の中での遊びにぴったりです。お人形を作った後は、付録をつかって劇場を作って家族を招待して人形劇をしましょう。自分の工夫次第でどんどん遊びが広がります。(TF)

たくさんのふしぎ

おんまつり

長岩城載枝 文 / 小西英子 絵

奈良県で一番大きなお祭り「おんまつり」。北海道と奈良では歴史の蓄積が違いすぎるなぁと読みながら感じます。おんまつりがどのようにして行われるようになったのか、そして、今行われているお祭りのひとつひとつが、どのような意味があるのか。それが小西さんの繊細で美しい絵と共に見ることができる一冊です。(SF)

母の友

豊かな暮らしってなんだろう?

今回の母の友の特集は「豊かな暮らしってなんだろう?」です。豊かな暮らしってどんな暮らしでしょう? 最近私はテレビ、電子レンジ、炊飯器、ラップを使わない。ペットボトルは買わないと決めて生活しています。今まで何も考えずに使っていたので、使わないとなるとやはり不便と感じたり、なんて便利な道具なのかと感じます。その一方で、なくても生活できるんだ! と驚きもしました。少し時間や手間がかかることもありますが、手間をかけるということが豊かだなぁなんて思うんです。今年の7月からレジ袋が有料化されました。それが不便と感じる方もいると思います。不便を感じてまでなぜそうしなければいけないのか? 今月号の母の友を読んでみんながもう一度じっくり考えてみる必要があると感じました。家族で何ができるか話し合ってみるのもいいですね。(TF)


2020.11

BY SUSUMU FUJITA / TOWA FUJITA / AYAKO ARAKI / KONOMI HORIUCHI
こどものとも 0.1.2.

ふくろう ほ、ほう

飯野和好 さく

読むというか、親子で、ふくろうになったつもりで楽しんでください。ふくろうになったら、どんな気分なんでしょうか。それにしても、飯野さんのつくるあかちゃんえほん。なんでしょうね、この雰囲気。ふふっと思わず笑顔になってしまいます。2羽の仔ふくろう、兄弟かなー、姉妹かなー。一番近くにいる人のことってなんだか真似したくなっちゃうんですよね。お母さんふくろうが戻って来たときの嬉しそうな顔。なんとも幸せな気持ちになります。飯野和好さんの描く、生き物の柔らかい雰囲気、すごく好きです。(KH)

こどものとも年少版

やまねずみのひっこし

島津よしのり 作

私の家の周りには、川や大きな公園があって、散歩していると時折、小さなネズミが横断歩道を渡っていきます。かわいい! と思いつつ、横断歩道を渡って何をしているのかな? もしかしてこの家の住人? 渡った先には仲間がいるのかも! なんて想像が膨らんでわくわくします。今回は森に捨てられた靴に住む、やまねずみのお引越しの話。なんと作者の島津よしのりさんの実体験を元に物語ができたんですって!(TF)

こどものとも年中向き

ミミコがさんぽにでかけたら

吉岡さやか さく

街の中にいるはずのないタコが登場します。たくさんのふしぎ9月号で、イカは動きが素早く一瞬で体の色を変えると知りました。すごいなぁと関心していましたが、タコもそうなんですね。ネコのミミコは一瞬で姿を変えるタコを追いかけていきます。けれど、タコは隠れるのが上手な上に、街にはタコに似たものがあるから惑わされるんです。物語のなかで、どの場面にもタコがかくれています。かくれんぼの鬼になった気分でミミコと一緒にタコ探し。ぎゅっと集中して探して、見つけるとうれしいものです。みなさん、おこさんが、自分で見つけるまでじっと我慢してくださいね。「どこにいるんだろうねー」とこどもが感じてることに心を合わせる感じです。皆さんは全部見つけられるかな?(TF)

こどものとも

イワンカとマリイカ

ブルガリアの昔話
八百板洋子 再話 / 大畑いくの 絵

昔話というのは昔から語り継がれてきたお話のことで、そこには超自然的なものや教訓めいたものが含まれていたりするものです。それを物語にして、こどもに語りかけながら、語り継いできた「語りの文化」って大切だなって思います。このイワンカとマリイカも、一人は優しくて働き者、もう一人は意地悪でなまけものというもの。日本の昔話でもよくありますよね。昔話では、その国に昔からいる動物や、使われている物が出てくるのも面白いところです。日本ではさる、キジ、犬や熊、そしてきびだんごなどですね。中国の昔話にはごま油が出てきたりするんですよ。イワンカとマリイカはブルガリアの昔話。さてさて、何が出てくるでしょうか?(AA)

ちいさなかがくのとも

かきのみ だいへんしん

織茂恭子 さく

織茂恭子さんの絵本。ぼく好きなんですよ。月刊絵本で出されたもので、特にお気に入りなのが『ビスケットのかけらがひとつ』『まいごのまめのつる』『おかえし』です。『トイレとっきゅう』をご存知の方も多いかもしれませんね。今回の『かきのみだいへんしん』は、千切り絵。なんとまあ、見事なんだろうと眺めてしまいます。彼女の感性が好きなんですね、たぶん。(SF)

かがくのとも

かもつれっしゃがゆく

みねおみつ さく

「ん、この絵本知ってるな?」と思ったら『でんしゃはうたう』と同じみねおみつさんの作品でした。『でんしゃはうたう』は文が三宮麻由子さんで、とても印象的でしたが、なんとなく、この絵本の言葉も似ている気がします。ぼくはあまり乗り物自体には興味がないんですけど、この本はもうたまらなく好きな人たちが大勢いそうです。かがくのともは、図鑑的に一部を切り出して解説するのではなくて、物語のなかで多面的にテーマを捉えてくれるので、乗り物自体に興味がないぼくでも、とても興味をもって読んでしまいます。そこが、好きなところ。知らない世界にたっぷり出逢ってくださいね。この絵本を読んだ後に貨物列車が通ると、全然違った列車に見えそうです。(SF)

たくさんのふしぎ

トナカイに生かされて

シベリアの遊牧民ネネツ
長倉洋海 写真・文

シベリアの遊牧民ネネツは、農作物も収穫できないツンドラ地帯に暮らす民族。食べるため、生きるためにトナカイを飼っています。この本を読むと、無駄のない質素な暮らしが羨ましくなります。写真から伝わってくるトナカイの息づかいや暖かさ、ネネツの洋服の美しさ、シベリアの大地、空の青さも必見です。(AA)

母の友

こどもに聞かせる一日一話

さてさて今回は、毎年楽しみにされている方も多い、「こどもに聞かせる一日一話」。物語を自分で読むのと、読んでいるのを聞くのは全然違います。読むのは1人でもできるけど、聞くのは読む人がいて、聞く人がいないとできません。同じ物語を一緒に楽しむというのがいいです。大人もこどもも一緒に一日一話をお楽しみください。(TF)


2020.10

BY SUSUMU FUJITA / TOWA FUJITA / AYAKO ARAKI
こどものとも 0.1.2.

はんぶんこ

杜今日子 さく

「いいもの食べてるねぇ」と声をかけると、手に持っているものをジッと見つめてしばらく考えたあとに、「はい、どうぞ」と渡してくれます。全部いただくのは申し訳ないので「じゃあ、はんぶんこしよっか」ということになるわけです。これは我が家の「はんぶんこ」。兄弟姉妹で1つしかないものを分けっこする「はんぶんこ」もありますね。親子で、おじいちゃんやおばあちゃんと、こどもとの「はんぶんこ」もあります。そして「はんぶんこ」は必ず均等にはならなくて、こどもは小さい方を私にくれるのは我が家だけでしょうか(笑)?(AA)

こどものとも年少版

やまねずみのひっこし

佐々木マキ

あかちゃんの機嫌がなおりません。ずっと泣いています。そこで手品師の登場です。さて、あかちゃんのご機嫌はいかに!?なんと手品師の全ての技をもってしても、赤ちゃんを笑顔にすることはできませんでした。「これをしたら喜んでくれるかも!」なんて思っても、ご機嫌次第だったりしますしね。大人が考える楽しみと、こどもの喜びは、ずいぶん違うのかもしれませんね。佐々木マキさんの作品は、独特のユーモアに加えて、鋭さがチラチラ見え隠れするのが好きです。(SF)

こどものとも年中向き

こぎつねとみつばち

こじまさとみ さく

蜂をビニールハウスの中に放して作物を育てるお手伝いをしてもらう、という話を聞いたことがあります。自然界ではどこからともなく蜂がやってきて、花に入り込み蜜を集めて、巣へ戻っていきます。その時に「受粉」してくれるというわけです。この絵本の中でも、こぎつねくんが育てたかぼちゃの花にみつばちが集まってきます。こどもたちはこぎつねくんの気持ちに共感して、みつばちの大切さを理解してくれるでしょう。この絵本を読んだら、畑に出かけて、みつばち探しをしてみてはいかがでしょうか。お気づきの方もいるかと思いますが『やさいばたけのやまねこさん』の続編です。素敵な絵本。(AA)

こどものとも

ぎんいろ ぴかぴか

黒崎美穂 文 / 松成真理子 絵

主人公のサトばあちゃん。おばあちゃんのお話に弱い私は、最初の1ページを読んだ瞬間から、涙を流す予感がしました。表紙とタイトルを見たときにはお月様のお話かしら?と思ったけれど、この明るいふわっとした感じはもしや天国!?でも読み進めていくと、いい意味で期待は裏切られ、ずっとわくわくしっぱなし。それもそのはず、作者の黒崎さんは元保育士で、楽しい経験がもとになったお話だったのです。こどもとの楽しい体験が絵本になり、それがまたこどもたちの遊びにつながる。とても素敵な連鎖が起きそうです。ぎんいろぴかぴかをカラァリカラァリまわして、おいしいものがどんどん出てくるのは幸せなこと。(TF)

ちいさなかがくのとも

ボートに のろうよ

杉田比呂美 さく

この絵本を片手に、公園の手漕ぎボート乗り場に let’s go!ボートの上でこどもと一緒に読んでみてください!ボートに乗ったことのある方もない方も、新しい発見があるはずです。そしてそのお役目は、力持ちのおじいちゃんやお父さんに是非ともお願いしたい。こどもたちはオールを漕ぐおじいちゃんやお父さんを応援してくれますよ!(AA)

かがくのとも

かもつれっしゃがゆく

野坂勇作 さく

野坂さんに昨年お会いして、制作中の『うきくさ』の話を聞いて楽しみにしていました。いやはや、いままで浮き草のことなんて全然考えたことなかった。根があるけど、浮いている植物ってとっても不思議。そして、流れに身を任せていろんなところに旅をしているんですね。小さな世界に目を止めて、それをこどもと一緒に分かち合う。それって、簡単なこともあるし、なかなか難しくて大変なこともあります。このうきくさはとっても大変だったはずです。来月、野坂さんにまたお会いするので、その話をじっくり聴いてみます。(SF)

たくさんのふしぎ

光の正体

江馬一弘 文 / 松井しのぶ 絵

「光の正体」なんて今まで考えたこともありませんでしたが、初めて知ることが盛りだくさんで、何度もページを行ったり来たりしながら夢中で読みました。太陽の光が当たると床や壁に虹色が映る「サンキャッチャー」。ろばのこに太陽の光が入る朝の時間、店内に虹色がきらめいて本当にきれいです。でも「なんで虹色が映るの?」なんて質問されたら「えっ!太陽の光が当たって反射して……ん~?」。きっと虹ができる原理と同じなんじゃないかと思いますが、そもそも虹ってどうやってできているの?知っているつもりなのに知らないことばかり。読み終わったらどうしても共感してほしくて、隣に立っていたスタッフに「これすごい!お願いだから読んでみて」とすぐに読んでもらいました(笑)。(TF)

母の友

こどもに聞かせる一日一話

この特集を読み終わる頃には、そうか「今だから、昔話」と納得してしまうかもしれません。終わりが見えないコロナと向き合いながらの生活。いつもと違う生活様式、これからどうなるかがわからない。個人差はあるにしても、みんな不安を抱えていると思います。もちろんこどもも不安を感じています。そんなこどもにどのようなケアをしたらいいのかわからない方も多いのではないでしょうか?昔話の研究者である、小澤俊夫さんはその方法の一つに「お話」があると言います。「なぜお話が?」と疑わず、小澤俊夫さんの温かい言葉に癒されながら今回の母の友を楽しんでいただければと思います。そして、『ぶたぶたくんのおかいもの』が50周年なんですって。「ぶたぶたくん」も「お話」から生まれました!(TF)



    2021年度月刊絵本お楽しみガイド