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草原の恥ずかしがり屋 ウズラ

by AIKO SENZAKI, photo by HIRAKU SENZAKI

ウズラ Coturnix japonica 2017.05 Iwamizawa Hokkaido


突然ですが、みなさん卵料理はお好きですか?目玉焼き、だし巻き卵、オムライスに茶碗蒸し……。ここまでに思い浮かべた料理に使われる卵は、ニワトリのものばかりです。卵料理と言われて、八宝菜や串揚げを思い浮かべた人はいませんか。八宝菜のトロリとした野菜の"あん"の中に、ころんと入っている親指の先程の小さな卵(私は大事にとっておいて、最後に食べます!)。この卵を産む鳥が、今回ご紹介する野鳥「ウズラ」です。ウズラの卵は、さりげなく料理を引き立たせてくれる名脇役。スーパーの卵売り場で、小さなパックに並んだ、まだら模様の卵を見たことのある人も多いのではないでしょうか。ウズラはニワトリのように、卵を採るための家禽として人に飼われているのですが、実は、北海道には野生のウズラが暮らしています。

北海道は全国でも野生のウズラの一大生息地です。ウズラは春になると、冬を過ごしていた関東や九州、東南アジアから、短い翼を必死に羽ばたかせて北上し、北海道を目指します。春には続々と故郷に到着し、河川敷や畑地内の草地で、「ジュピッピー!」と大きな声で囀り始めます。私は毎年、この鳴き声を聞くと、大海原を小さな体で一生懸命に渡ってくるウズラの姿が思い浮かび、嬉しくなって「おかえり!」と言ってあげたくなります。大きな声に似合わず、ウズラの性格はとっても恥ずかしがり屋。草の中からほとんど出てこず、枯れ草そっくりの体色が保護色となり、まったく目立ちません。姿を探すには大きな声が頼り。声のする方に目を凝らしていると、小さな体をぴんと伸ばし、体をいっぱいに震わせて鳴く姿が見られるかもしれません。そんなウズラ、近年では、いる場所には割と普通に生息が確認できるものの、1990年代には一時急速に数を減らし、危険な状態になりました。私たちは、ウズラにいつでも帰ってこられる豊かな自然を残してあげたいものです。